TPP交渉のラテン・アメリカのチリ代表者として長らく交渉に参加してきた人物(ロドリーゴ・コントレーラス氏)が辞任し、TPPにおける「高所得国」(もちろん米国です)の要求を「われわれの国々(ラテン・アメリカ諸国)に対する脅威」としてきびしく批判し、ラテン・アメリカ諸国が協定に同意しないよう呼びかけました。
しかし、TPPはラテン・アメリカ諸国だけでなく、日本を含むアジア諸国やオセアニア諸国の普通の人々にとっても、米国にとっても99%には脅威です。
コントレーラス氏の主張の一部を以下に記します。
ロドリーゴ・コントレーラス
TPPは、今日世界で交渉されている最も重要な協定の一つである。交渉中の諸問題のより深く、広い取り扱いと関係する国の数と重要性のために、TPPは、その地理的な範囲を超えており、将来の貿易交渉の基調を構築することになるだろう。ラテン・アメリカの数カ国における貿易政策は、総じてTPPの目的と一致する。しかし、それはわれわれが如何なる形であろうとこの新しい協定に調印するべきではないことを意味する。ラテン・アメリカ諸国の現実と目標は、アングロ・サクソン諸国および参加しているアジア諸国とは異なっている。この地域に対する特別な利益の主題 —— 生物学的および文化的な多様性の保護、開発政策を計画し補足する柔軟性、過剰な規制なしでの薬品と教育材料へのアクセス、および知的所有権 —— は、国民と地域の利益を保護するべく慎重かつしっかりと交渉するべきである。各国の投票は、TPP交渉では平等な価値を持つ。ラテン・アメリカ諸国は、関係国の4分の1を構成しており、結果に影響を与えることができる。われわれの諸国は、知的所有権、環境保護、資本規制、および民間投資家の権利と国家との間の適切なバランスといった諸問題に関する多角的貿易交渉によって認められてきた柔軟性を必要とする。これは、TPPにおける最も豊かな国とその仲間の要求と圧力に直面して強い交渉力を必要とする。地域の諸国は、知識へのアクセス、質の教育、医療のカバー、およびそれらの経済(特にそれらの金融制度と為替相場制度)の強化を進めるために長い道を歩まなければならない。
われわれは、インターネット上で利用できる知識へのアクセスに対する制限を避けなければならず、オンラインの内容のダウンロードに対する知的所有権保護を強化してはならない。またわれわれは、本、映画または音楽に対する著作権の保護期間の過大な拡張を承認するべきではない。それは図書館と学校でそれらを利用する可能性を制限し、より低い所得の人々にとってそれらを高価にするだろう。現在の期間を超える薬品の特許の保護を拡張したり、ちょっとした特許の申請に対する挑戦を規制することは、ジェネリック医薬品の利用可能性を遅らせ、薬品の費用を増やすことになる。最も弱い人々に対する公的医療予算および健康サービスへのアクセスがわれわれの国で、影響を受けることになる。
われわれは地域内ではわれわれの経済の安定性に満足できるかもしれないが、高所得国を含むすべての国が経済危機の影響にさらされている。国際通貨基金(IMF)は、ラテン・アメリカに対する主要な挑戦の一つは金融セーフガードを適用する余地を回復することであると、繰り返し主張してきた。このような環境のもとでは、もっと資本移動を自由化することには意味がなく、それは金融安定性を安全に保つための正統な道具をわれわれから奪うことになる。
・・・高所得国の現実に応じて計画されたモデルの押しつけを拒否することが決定的に重要である。高所得国は他の参加国とはきわめて異なっている。さもなければ、この協定はわれわれの国にとって脅威となるだろう。それは、健康と教育、生物と文化の多様性、および公共政策の計画とわれわれの経済の転換におけるわれわれの開発オプションを制限するであろう。それはまた、われわれの国の繁栄と福祉を増大させる可能性を制限するTPP交渉の結果を認めるような政府に許可を与えることを嫌う、ますます活動的になる社会運動からの圧力を生み出すことになる。
http://www.nakedcapitalism.com/2013/05/chiles-recent-lead-negotiator-on-trans-pacific-partnership-warns-it-could-be-a-threat-to-our-countries.html
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