2013年5月30日木曜日

ブラック企業の増幅

 ブラック企業とは何か?
 一言で言えば、労働基準法を守らない、または意図的に労働基準法を無視している企業のことです。
 例えば、「見なし残業」。これは新卒の学生がよく引っかかります。基本給に残業代が含まれており、残業しても基本給に含まれているので、残業手当は出ません。これが労働基準法に違反するかは、微妙なところもありますが、良心的な企業ならば、最初から明示しておくところでしょう。法の盲点を利用した手口です。
 その他、休憩時間がない、これも労働基準法違反です。また労働基準法では、勤務時間は、例えば商業であれば、開店のための準備時間を含むことになっていますが、ブラック企業では含まれません。当然、実際の勤務時間は長くなります。
 普通、ブラック企業には労働組合がありませんので、就職した新人は相談する仲間のいません。孤立した状態に追い込まれます。人間は孤立すると、異常な精神状態に追い込まれます。本当は、労働側の弁護士や、その他の制度を利用したり、仲間作りをするといいと思うのですが、学校で労働組合のことを学ぶわけでもありません。大学の経済学部で教わる労働経済学(新古典派系)では、労働組合が労働市場を硬直化させるので、悪だと教える教師もいますので、最悪です。結局、孤立して自主退職します。
 それでは、労働基準法には、意味がないのか? 注意しなければならないのは、労働者が権利意識をもって労働基準法に違反していることを訴えない限り、当局は動かないという事実です。ちょっと違う領域のことですが、警察もよほど重大な犯罪でないかぎり動かず、日常のいざこざなどを取り締まるわけではないのと似ています。
 ブラック企業にとっては、従業員の一部がやめようが痛くも痒くもありません。現在のような就職状況では代わりはいくらでもいるからです。つまり社会全体がブラック化しているからです。
 昔、ケインズ以前にケインズと同じことを言った偉大な経済学者、M・カレツキは、企業者は、労働者が力を得ることを政治的に好まないため、高い失業率を欲すると言いました。これは少なくともブラック企業には完全に当てはまります。
 これをなくすためには、労働者が権利意識を持つこと、失業率を下げること、怪しい労働経済学者の言う事を聞かないことなど、いくつかの点が重要です。


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