「恐ろしいことです。なぜ誰も危機が来ることを分からなかったのでしょうか? ・・・もしこれらのことが重大事なら、どうして皆がそれをみのがしたのでしょうか?」
これは2008年11月6日にLondon School of Economics (LSE)で、金融危機に関する講義を聴講したエリザベス二世が発したことばです。(Daily Mailによる。)
これに対して、Luis Garicano 教授は、最良の経済学者が皆危機は生じないと信じていましたという趣旨の回答をしたとか。
もちろん、それはまったく誤りです。危機が起こる蓋然性は、「最良」ではない経済学者が予見できたからです。むしろ「最良」と言われた経済学者が「最悪」だったということでしょう。
経済学者の中には、アメリカだけでも1980年代の金融危機、1990年代初頭の金融危機、21世紀初頭の金融危機(ITバブル崩壊による金融危機)のバブル・リレー後の金融危機の歴史を分析している人はおり、21世紀の住宅・金融資産バブルの崩壊による金融危機を危惧している人は沢山いました。ただ、それを指摘すると、アラン・グリーンスパンの「マエストロ(巨匠)」風の金融政策を賛美する声や、バブルの崩壊による金融危機を「狼少年」(Cry wolf)だといって逆切れする金融関係者、それに賛同する一連の経済学者(新古典派、マネタリスト)の声にかき消されただけです。
もちろん人間は万能ではありえません。金融危機の後になって分かった事も多くあります。しかし、事前にわかっていたことも沢山あります。
嘘だと思う人は、米国のLevy Economics Institute of Bard College の Working Paper や、Hyman Minsky、David Harvey、Robert Pollin(米国)、Susan Strange、Andrew Glyn(英国)、宮崎義一(日本)といった良心的な経済学者の著書・論文を参照されるとよいと思います。
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