TPPへの日本の交渉参加に際して自民党が6条件を付したことはよく知られていると思います。この6条件が守られなければ、TPPに参加しないというものですから、本来、それはTPP交渉に大きな波紋を投げ掛けることになるはずです。というのは、それは、これまで4年以上にわたって交渉されてきたことを(すべてとは言いませんが、いくつかの根底的な部分を)ひっくり返すことになるからです。
しかし、これまでのTPPの交渉参加国がそれをのむとは、到底思えません。そこで、考えられるシナリオは、次の2つだけです。
1)自民党の6条件が無視される。このとき、自民党が(あるいは日本が)どのような決定をするかも2つに分かれます。一つは、自民党が公約通り、または選挙後6条件を提示したときの約束通り、TPPに参加しないという選択であり、もう一つは、選挙公約を破ったのと同様に、約束を破り、TPPに強引に参加するという選択です。私は自民党を信じていませんので、後者の可能性を危惧しています。それとも自民党を信じられる人がいるでしょうか?
2)6条件がまじめに(?)討議され、TPP交渉が紛糾する。その結果、TPPはWTOのドーハ開発ラウンドと同じように挫折する。TPPのドーハ化です。
さしあたり期待されるのは、こうしたTPPのドーハ化のシナリオです。
そのためには何が必要か? さしあたり次のようなことでしょう。
1)6条件をアメリカを始めとする交渉参加国に周知させる。情報では、自民党はまともに米国にさえ、6条件を伝えていませんので(本当です)、様々な手段で伝えてあげることが必要です。
2)密室でのTPP交渉ですが、巨大多国籍企業の代表者の要請は積極的に聞いています。情報公開を求めると同時に、その密室性・反民主性、多国籍企業への奉仕という性格を人々の間に広く理解してもらうこと、反対の世論を強めることです。
3)同時に、リークされている情報などをもとに、広くTPPの内容を人々に理解してもらうための活動を行なうことです。
現在でもまだTPPは関税を撤廃する自由貿易協定の一種であり、農業は被害を受けるけれど、その他の分野では国民に利益がある位にしか考えていない(知らされていない)人がかなりいます。それはまったく事実ではないこと、TPPは企業の利益を国内の政策・法律・制度より上位に置くことによって、「企業支配」を可能にする巨大多国籍企業のための装置だということを(マスコミに代わって)伝えてゆくことが必要です。
私の経験では、TPPに好意を示していたような人でも、ISDS条項(外国企業が政府を訴えるという制度、つまり国家主権の侵害)、ラチェット条項(いったん自由化すると、後戻りできないという制度)、医療・環境・保険・衛生・投資・資源などありとあらゆる国民生活に関係していることを説明すると、そんなにひどい内容なのかと、怒りだすこともある位です。
事実を伝えることが重要です。
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