よくGDP統計(国民経済計算統計)がニュースになることがあります。成長率が年何%かとか、年率換算で何%とかと報じられるニュースの基礎となっている数値です。
もちろんGDPは国全体の統計であり、いわば各都道府県の合計または平均値です。
では、各都道府県の数値はどうなっているのでしょうか?
これは県民経済計算統計から知ることができます。北は北海道から南は沖縄までの数値が存在しますが、ここでは一人あたりのGDPではなく、一人あたりの雇用者報酬額(年)がどのように変化してきたかを見ることにしましょう。
一人あたり雇用者報酬が全国では、1997年頃までは増加してきたのに、1997年を界に低下してきたことはすでに紹介したことがありますので、ここでは東京の数値を基準(東京=100)としたとき、全国平均や各地域の数値がどのように変化してきたかを見ることとします。
まず全国平均です。
政府の統計では、1975〜1999年の統計系列と1996〜2009年の統計系列とがあり、かなりのズレがあります。(1996〜1999年の4年間については、2系列の数値がありますが、ピタッと一致していません。(何故このような乖離が生まれたのかは不明です。)
しかし、それはともかくとして、1975年から1992年頃までは、東京とその他の地域との間の格差が次第に拡大していたことがわかります。そして1992〜1997年の数年間に(つまり日本が平成不況に見回れていた時期に)格差の縮小傾向が生じていたこともわかります。しかし、1997〜2001年頃を画期としてふたたび格差は拡大してきています。
もう少し詳しく地域別に見るとどうでしょうか?
この図に示されているように、九州、四国、北海道・東北の一人あたり雇用者報酬が最も低くなっており、中国、中部がそれよりは高い水準に位置していますが、いずれも東京を基準(東京=100)として70以下の水準に位置しています。
これらの統計は、東京を中心とする関東圏、または大阪を中心とする関西圏や愛知県などが比較的恵まれた経済状態にあるのに対して、それ以外のいわゆる地方経済がかなり苦しい状態にあることを端的に示しています。
東京や大阪の平均報酬が高い理由は明白です。そこにはグローバル化した多国籍企業の本社が存在し、そこに日本だけでなく世界から「富」が集まるからです。これに対していわゆる地方はそうではありません。
東京の状態から日本経済を見るのではなく、地方の視点から日本経済を見ることが必要な所以です。
いい職業を求めて地方から東京へ出てくる人が多かった時代に雇用者報酬差が広がったのは分かり易いことですが、近年の雇用者報酬の差の拡大は、物価下落が地方の方が大きかったという差の程度しかありませんね。
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