米国では今年1月になってようやく失業率が6.6%にまで下がってきました。その要因として経済回復があることは否定できないでしょう。
しかし、もう一つ大きな要因として、求職意欲喪失者、および「周辺的に労働力に編入される他のすべての者」の存在があります。
つまり、求職活動をしていないか、かつてはしていたが、求職意欲を喪失した者が相当数いるため、見かけ上、失業率が低く見えているいるのです。そのことは下記の米国労働統計局のデータが示しています。通常の方式で算定した失業率(U-3)と求職意欲喪失者を加えた代替的失業率(12.7パーセント)を比べてみると、よくわかります。実にその差は6.1%にも達します。
米国の代替的な失業統計(Bureau of Labor Statistics)
注)「周辺的に労働力に編入される」とは、労働しておらず、求職していないが、過去1年間に求職活動をしたことがある者。
実は、日本でも従来から求職意欲喪失者がかなりの割合でいました。特に主婦のパート・アルバイトの中にです。しかし、彼女らは、失業しても景気が悪化している間は求職活動をしませんので、失業者のカテゴリーには含められませんでした。
そこで欧米人から見ると日本の失業率の変化には不思議な点が2つあるということになりました。
一つは低い失業率です。もう一つは、景気が悪化しても失業率が上昇しなかったことです。むしろ後者の方が外国人には不思議だったかも知れません。
しかし、実は不思議でも何でもありませんでした。ただ失業した人が求職活動を断念していたため、失業者とされなかっただけです。
このことを欧米人が知ると、次にどうして職を喪失した人が求職を断念するのかという質問が出てきます。
これに答えるのもそれほど難しくありません。彼女たちは家計補充的低賃金労働に甘んじていたので、職を失ってもそれほど切実ではなかったためです。
しかし、近年状況は変化してきました。われわれはきちんと現在の状況を認識し、公正な所得分配を実現しなければならないと思います。
>実は、日本でも従来から求職意欲喪失者がかなりの割合でいました。特に主婦のパート・アルバイトの中にです。しかし、彼女らは、失業しても景気が悪化している間は求職活動をしませんので、失業者のカテゴリーには含められませんでした。
返信削除景気の回復時に非正規雇用が大幅に増える理由ですね。