ドイツ人は勤勉・堅実であり(貯蓄性向が高く)、規律を重んじます(別の表現では、団体・コルポラツィオーン、Korporation の精神に富んでいます)。比喩的に言えば、ドイツはイソップ寓話における勤労意欲に満ちた蟻であり、彼らから見れば、フランス人を含む南欧人は遊び好きなキリギリスのように見えるのかもしれません。
しかし、もしそうだとしたら、蟻とキリギリスたちが家計(財政)は別々にしたまま家連合をつくろうとするのがそもそも無理だったというべきです。もっとも蟻の世界でも家の内情は少し複雑で、金融と輸出産業部門を管理している家長(Herr im Hause)蟻が優遇され、働き手(Arbeiter)蟻が少し冷遇されている様子も垣間見え、それが世論調査結果にも現れています。
前置きはそれくらいにして、米国のPew Research Center の世論調査結果(昨年10月公表)を見ておきましょう。
欧州プロジェクトに対する低い支持率
欧州統合の評価さらに低下
経済統合は経済を強化したか?
これに対して、半数を超えているのはドイツだけであり、イタリア、ギリシャ、フランスの支持率の極端な低さが目立ちます。
2012年から2013年にかけて評価はいっそう低下しました。
ドイツと異なるフランスの暗いムード
フランス:悪い経済状況 91%、EUに否定的 58%。
ドイツ:悪い経済状況 25 %、EUに否定的35%。
隣国でありながら、これほどの相違が生まれています。
異なった大陸に住むドイツ人
自国の経済状態、自国の指導者の評価、EU統合の評価、その帰結の評価といった各項目について、肯定的な意見が多いのはドイツのみ。その他の国の平均値はおしなべてかなり低い水準にあります。
ドイツ人は同じヨーロッパ大陸に住んでいるのだろうか、という疑問が出てくる程の相違です。
現在、克服するべき最重要課題は何か?
ドイツ以外の国:失業(51〜72%)。以下は政府債務、所得格差、インフレの順
ドイツ:所得格差(42%)。以下は、失業、政府債務。
ただし、実際にユーロ圏の存否を問われると、解体派は少数になります。それは昨年のギリシャの選挙でも同様でした。
つまり、ユーロ圏にとどまるも地獄、しかしユーロ圏から離脱するも地獄という現実はよく理解されていると考えられます。
経済統合に対する低い評価にもかかららず、自国通貨に戻るべきであるという意見は、フランスでも37%に過ぎず、逆に存続派は63%に達しています。むしろ意外なのはドイツでもユーロ圏を離脱し、自国通貨に戻るべきという意見が3分の2(32%)に達していることです。
ユーロ圏の存続に関する意見
Pew Research Center のサイトより
http://www.pewglobal.org/2013/05/13/the-new-sick-man-of-europe-the-european-union/
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