事故原発の処理・廃炉費用についても考えなければなりません。
原発事故が起きた年、2011年10月に内閣府・原子力委員会の「原発・核燃料サイクル技術等検討小委員会」は、「福島第一原発事故を踏まえ」原発で重大事故が起きるリスク(事故リスク)をコストに反映させると電力1kWhあたり1.2円上昇するとの試算を示しました。
この試算の前提となる事故にかかる費用は、5兆5000億円と見積もられています。しかし、これがとんでもない過小の見積りであることは言うまでもありません。
本ブログでも見たように、すでに除染と損害倍賞だけで軽く10兆円(しかも過小に評価してです)を超えています。その他に事故原発自体にかかわる費用があります。
当該委員会は、1〜4号機の廃炉費用について9600億円としましたが、これは廃炉の見通しもたっていない状況で出されたとんでもない数字といわざるをえません。
そもそも原発の事故処理自体のために、どれほどの費用がかかるのでしょうか?
その具体的な数字をあげることはできませんが、それを考える上で参考になる特集記事が毎日新聞(2013年8月19日朝刊)にのりました。
それを紹介したサイトがありますので、是非読んでいただきたいと思います。
この記事にはいくつかの重要なポイントがあります。
・これまで(昨年夏まで)に福島原発の処理費用だけで、すでにざっと計算して1兆円ほどが支出された。
・日本政府は、日本の全原発の廃炉費用として3兆円ほどしか考えていない。
・また日本政府は、それらの廃炉期間として30年ほどしか考えていない。
・しかし、これがイギリスの経験に照らして、あまりに楽観的すぎることは間違いない。イギリスでは、1993年に廃炉作業をはじめたウェールズ地方の原発は、26年しか稼働しなかったが、その廃炉にはこれまでに20年かかり、あと70年を要する。放射能があまりにも強く、作業をいったん2026年に停止し、その後2083年頃までに廃炉にする予定という。さらに核燃料を何万年にもわたって保管しつづけなければならない。事故のなかった原発でさえ困難な仕事なのだから、事故を起こした福島原発の場合はもっと深刻な事態が想定される。それがどんなに困難な作業になり、また巨額の費用を要することになるのか、想像を絶する。
・これらの重い負担(危険と費用)が現在の世代だけでなく、未来の世代に重くのしかかる。
国の借金を将来の世代に残すなという政治家は多数いますが、むしろ原発についてこそそのことを声を大にして主張するべきではないでしょうか。まさか「わがなき後に洪水よ来れ」と考えているわけではないでしょうが。
その上、安倍政権は原発を再稼働しようとしていますが、そのためには廃炉費用に加えて、安全対策のための費用(耐震、津波、その他の事故)が必要となります。長期的に視野に立つと、再稼働は費用を増やすだけの愚かな政策に他なりません。
毎日新聞。これからもきちんとした事実の報道をするべく頑張ってください。
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