ここに法人企業統計から作成した図を上げます。
この図ほど、現在の日本経済の状態を示すものはない、というと大げさかもしれませんが、少なくともいくつかの重要な側面は示しています。
1)企業は、内部資金をかなり蓄えているが、投資需要が減退しているため、設備投資額をずっと減らしている。
2)そのため企業には、余剰資金が生じている。
3)この余剰資金が生まれている時期と、日本企業が在外子会社を作り・拡大するためのFDI(外国直接投資)を増やしている時期が一致している。
4)余剰資金の発生は、賃金圧縮の結果であり、それは賃金からの消費支出を抑制し、企業の製品売れ行きを悪化させている。
5)したがって企業の利潤は賃金圧縮をしてもそれほど増えない。
6)また消費支出が増加するという期待(予測)も生まれず、設備投資をしない。
7)日銀が「異次元の金融緩和」を行なっても、余剰資金を持っている企業への銀行貸付は増えない。
8)こんな状況では法人税の減税をしても無駄。むしろ賃金圧縮をやめさせる方策が有効となる。
以上のことを示す統計データ(図、複数)もありますが、ここでは直接投資額の推移だけ示しておきます。それ以外の図表は、後日お示しすることにします。いずれにせよ、論より証拠、黒田日銀総裁・安倍首相コンビのリフレ策(アベノミックス第一の矢)は大失敗ということです。
なお、円安・ドル高の秘密は別に連載中。輸入された物価高が生じているおり、実質賃金を引き下げる要因になっています。
出典)財務省「法人企業統計調査」より作成。
注)全産業(金融を除く)、全規模。
出典)財務省「国際収支状況」表(総括表)より作成。
出典)厚生労働省「毎月勤労統計調査」より作成。
注)5人以上企業。「決まって支給する額」とボーナスなどを含めた「総額」。
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