現在、資本主義経済が暴走中であることは、多くの人が実感している事実です。
そのことは、例えば 2006 年以降のグローバル金融危機の発生、2008年のリーマン危機以降の深刻な景気後退に象徴されています。
もっとも、次のことには注意しなければなりません。それは危機が「100年に一度」と言われた割には深刻にならなかったことです。私も、ある飲み屋さんで女将さんから、「先生、100年に一度の危機と言われたけど、大した事ありませんねえ。どうしてですか?」と言われたことがあります。
いいですね。現代人は幸せで・・・。
さて、私は、危機が100年に一度クラスのものだったことは間違いないと思います。それが1930年代のようにならなかったのは、一つには、現代人がある意味ではそこから教訓を得ていたから(つまり賢くなっていたから)であり、もう一つは、米国の政府・FRBがなりふり構わずに、「モラルハザード」(これは彼らが他人を批判するときの常套文句でした)をものともせずに、遮二無二、財政支出を行い、金融緩和や破綻した金融機関の救済を行なったからに他なりません。FRBなどは、自己の管轄下にない投資銀行(証券会社)まで不法に救済しています。
もし、それが行なわれなければ、どうなっていたかは神のみぞ知るです。
実際、米国輸出向けに生産していた日本の企業も、突然、注文がぱったと来なくなり、生産の大幅縮小を余儀なくされ、底知れぬ不安と恐怖心とをいただいたのです。しかし、「喉元過ぎれば、暑さを忘れる」です。まるで何のなかったかのようです。住宅・資産バブルでぼろ儲けをした挙げ句、破綻し救済された金融機関も知らぬ顔の半平。また金儲けにいそしもうとしています。
しかし、すべてが問題なく元に戻ったわけではありません。巨額に膨らんだ政府の粗債務(国債など)、ヨーロッパの債務危機、高失業率、ユーロ危機など、一部の人(1%)の金儲けのつけが「 99 %の人」にまわされています。恐ろしい限りです。
どうしてこのようなことになったのか?
一つの理由は、戦後、成立した国際通貨体制に大きな欠陥があったからです。特に1944年に米国のニューハンプシャー州の田舎町で成立したブレトンウッズ体制が大きな問題をはらんでいました。
このブレトンウッズ体制は、米国で作成された「ホワイト案」によってデザインされたものです。よく知られているように、1941〜43年には英国でも「ケインズ案」が作成されましたが、米英両国で実際に検討され、実際に採用されたのは、「ホワイト案」でした。しかし、それは米国の利益にそうものであり、残念なことに、きわめて大きな欠陥を有するものだったのです。
次回からしばらく戦後の国際通貨体制の歴史をみつめ、現在の混乱がどのようにしてもたらされるに至ったのかを私流に「つぶやく」こととします。
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