2017年9月20日水曜日

日銀の異次元の量的緩和と外国の研究者の問い 量的緩和という「重荷」

 外国人も日本の長期不況が不思議でならないようだ。例えば米国のTyler Durden氏などもその一人である。
 特に量的緩和(QE)については、2008年の金融危機の中で行われたQE3、QE4以降はまったく効果がない。それどころか、逆効果となっているように見えるから、なおさらそうだ。
 しかし、「逆効果」の理由は理解できないわけではない。
 何故ならば、量的緩和は「デフレ心理」の払拭をスローガンとしているが、それは毎年2%物価上昇の期待(予想)を前提とする。そこで人々は2%の物価上昇と、2%を大幅に超える所得の増加を期待しなければならないことになる。(そうでなければ、実質所得が低下ことにになる。)もし実質成長率が(例えば)2%に設定されるならば、また安倍首相が「嘘をつかない」と言いつつ1%をかなり超える成長を訳したわけだから、この公約を考えれば、名目で毎年3%~4%の成長を期待してもよいことになるだろう。
 これは5年では名目GDPが500兆円から600兆円に増えるほどのペースである。
 しかし、そのような期待を持つ人などこの日本で私はお目にかかったことがない。
 つまり、いまや物価上昇(だけ)を約束すると理解されている量的緩和は人々に相当の負担(burden)を押し付けることになるわけである。それは多くの人々にむしろ所得が増えない中での物価高期待を通じて消費支出を抑制する心理を生むことになるだろう。実際、私個人の経験でも、政府が毎年2%の物価上昇を目標とすると聞いて激怒した人がいた。
 「道半ば」どころではない。明らかに量的緩和の「バーナンキ主義」は破綻しているのである。


http://www.zerohedge.com/news/2016-05-24/japans-broken-economy-25-years-failed-stimulus-temporary-illusions


 なお、安倍政権時代における「家計収入」「家計消費」の大幅低下については、下記の表を参照されたし。
https://austrian.economicblogs.org/stockman/2016/snider-piles-japans-economy-shrinking-abenomics-abject/

2017年9月17日日曜日

英国紙ガーディアンの記事より 北朝鮮危機について 

イギリスの「ガーディアン」(the guardian)紙が北朝鮮の核・ミサイル問題について封じている。日本の大手マスコミ(NHKなど)のひどい報道に比べれば、はるかに客観的、冷静な報道をしている。(9月15日)
即席の日本語訳のため、読みやすい文章になっていないが、とりあえず日本語訳文を上げておく。


核危機に対する平和な解決が見いだされるべきならば、アメリカ合衆国は、金正恩が合衆国との軍事的「均衡」に達するという北朝鮮の目的を繰り返したように、北朝鮮の指導者たちを脅かすのをやめなくてはならない、と中国のワシントン大使が述べた。
崔天凱はワシントンのリポーターに述べた。「彼ら[合衆国]は脅しの拡大を公にすることを思いとどまるべきである。彼らは対話と交渉を再開する効果的な方法を見つけるためにより多くのことをするべきである。」
「正直に言って、私は合衆国が今よりずっと・・・多くのことをしているべきであり、そうすればこの問題に関する真に効果的な国際協力が生まれると思う。」
北朝鮮の国営通信社、KCNA は土曜日に、金の言葉を引用した。「我々の最終目標は合衆国との実際の力の均衡を確立し、米国と米刻の支配者が軍事的選択についてあえて語らないようにすることである。」

北朝鮮の核とミサイル実験が継続するならば、米国は軍事的選択をとると警告する。

合衆国は金曜日に、平壌が2週間に2回日本を超えてミサイルを発射した後に、もし最近の制裁が北朝鮮のミサイルと核実験を抑制できないならば、軍事的選択に逆戻りうると警告した。
合衆国国家安全保障担当大統領補佐官、HR・マクマスターは述べた。「我々は道路上のカンをけってきて、道から外れている。軍事的選択の欠如(米国がそれを採用してこなかったこと)についてコメントしてきた人たちにとっては、軍事的選択がある。 今、それは我々が好んでしようとしていることではなく、そこで我々がしなければならないことは、このグローバル問題を扱うためにできるすべてのことをするように、すべての国に求めることである。」
それより前に、米国国務長官、レックス・ティラーソンは、ロシアと中国に対して「自分たち自身の直接行動をとり、これらの無謀なミサイル発射に対する不寛容を示す」よう要請した。
平壌が2週間で2回目日本を超えてミサイルを発射し、国連保全評議会が「強く非難する」と言ったのち、中国大使は述べた。

結び目を結んだ人たちには、それをほどく責任がある。(中国外務省スポークスマン)

中国外務省スポークスマンは、北京で語ったとき、中国は発射に反対したが、同じく合衆国に平壌に対する戦術を変えるよう要請したと述べた。「中国は緊張のエスカレーションに責任がない。中国はまた朝鮮半島の核問題を解決する鍵を握ってもいない。結び目を結んだ人たちにはそれを解く責任がある。」

北朝鮮問題は、11月に予定されているドナルド・トランプの中国公式訪問中に中心的テーマとなる可能性が高い。
トランプは、何カ月間も、中国の国家主席、習近平を味方に引き入れるために公開のお世辞とツイッター外交を混ぜ合わせて、習が金体制を抑えるのを手伝うように北京(中国政府)にもっと多くのことをするよう説得しようとしてきた。

トランプは、「北朝鮮は中国にとって大きい脅威と当惑となったならず者国家であり、中国が援助しようとしてもほとんど成功しなかった」と、平壌の6番目の核実験後の93日にツイッターを送った。
北京のカーネギー・精華グローバル政策センターの北朝鮮問題専門家、ジャオ・トンは、この問題がトランプ訪問にどのような影響を与えるかを述べるには早すぎると述べた。「いまからその時までに多くのことが生じうる。計算を大幅に変える新しい展開が現れるかもしれない。」
しかしながら、ジャオは、金がトランプの到着に手始めにおけるキャンペーンを続けることはほぼ間違いないと述べる。「我々は、多分別の核実験を含めてより多くの試験を見ることになりそうだ・・・・北朝鮮国民が(最近の国連制裁からの)本当に痛みを感じるのに長くはかからないだろう。そこで、私の考えでは、北朝鮮の戦略は、彼らが本当の問題に国内的に直面する前のこの非常に短い時間を使うこと、彼らの核・ミサイル計画を完全に終えること、基軸的技術のすべてを達成することとなろう。彼らは、急いで自分たちにとって最も重要な実験を実施し、そして次にす速く自分たちの立場を柔弱化し、外交にやって来るだろう。」
アメリカの国連大使、ニキ・ヘイリーは、危機に対するワシントンの望ましい解決は外交と制裁を通してであったと述べたが、マクマスターの強いレトリックを繰り返して述べた。「我々が見ているものは、彼らは挑発的であり続けていること、彼らは無謀であり続けており、また貿易の90%と石油の30%を削減した時点でも、安全保障会議がここからなすことのできることは一切ない。」
トランプは、「この脅迫に対処するための我々の選択がこれまでより効果的で、かつ圧倒的であることをいっそう確信している」と述べた。彼は、ワシントンの近くのアンドリューズ合同基地から語ったとき、北朝鮮が「ふたたびその隣人に、そして国際社会にその徹底的なる侮辱を示した」と述べた。
ロシアの国連大使、ヴァシリー・ネベンジアは、合衆国が北朝鮮との協議、ワシントンがこれまで除外してきた何かを始める必要があると述べた。彼は、「我々は合衆国のパートナーと他の人たちに解決で提供される政治的、外交的な解決を実行することを求めた」と 安全保障会議後にリポーターに語った。「これを実行しなければ、我々は問題の解決に従順ではないと考えるだろう。」
直接対話の展望について尋ねられると、ホワイトハウス報道官は語った。「大統領とその国家安全保障チームが繰り返し述べたように、今は北朝鮮に話をする時間ではない」と。
韓国の文大統領もまた北との対話がこの時点で不可能だと語った。彼は、担当者に電磁パルスと生化学的な攻撃を含めて、可能な新しい北朝鮮の脅威を分析し、それに備えることを命じた。
195053年の朝鮮戦争が講和条約ではなく停戦で終わっているので、合衆国および韓国は技術的に阿まだ北朝鮮と戦争状態にある。北朝鮮は、韓国に28,500人の軍隊を持っている合衆国が韓国を侵略し、規則的に韓国とそのアジアの同盟国の破壊を計画していると非難している。

ロイター寄稿

The Guardian  15 September 2017.
The United States must stop threatening North Korea’s leader if a peaceful solution to the nuclear crisis is to be found, China’s ambassador to Washington has said, as Kim Jong-un reiterated his country’s aim to reach military “equilibrium” with the US.
Cui Tiankai told reporters in Washington: “They [the US] should refrain from issuing more threats. They should do more to find effective ways to resume dialogue and negotiation.”
“Honestly, I think the United States should be doing … much more than now, so that there’s real effective international cooperation on this issue.”
North Korea’s state news agency, KCNA on Saturday quoted Kim as saying: “Our final goal is to establish the equilibrium of real force with the US and make the US rulers dare not talk about military option.”
US warns of military option if North Korea nuclear and missile tests continue

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The US warned on Friday it could revert to military options if the latest sanctions fail to curb North Korean missile and nuclear tests, after Pyongyang fired a missile over Japan for the second time in two weeks.
US national security advisor HR McMaster said: “We have been kicking the can down the road and we’re out of road. For those who have been commenting about the lack of a military option – there is a military option. Now, it’s not what we prefer to do, so what we have to do is call on all nations to do everything we can to address this global problem, short of war.”
Earlier, the US secretary of state, Rex Tillerson urged Russia and China to “indicate their intolerance for these reckless missile launches by taking direct actions of their own”.
The Chinese ambassador was speaking after Pyongyang fired a missile over Japan for the second time in two weeks a move the UN security council said it “strongly condemned”.
Those who tied the knots are responsible for untying [them]
China foreign ministry spokeswoman
Speaking in Beijing, a foreign ministry spokeswoman said China opposed the launch but also urged the US to change its tactics towards Pyongyang. “China is not to blame for the escalation of tensions. China does not hold the key to resolving the Korean peninsula nuclear issue, either. Those who tied the knots are responsible for untying [them].”
The North Korea issue is likely to take centre stage during Donald Trump’s anticipated state visit to China in November.
For months Trump has been struggling to convince Beijing to do more to help him rein in Kim’s regime, using a mixture of public flattery and Twitter diplomacy in his bid to win over the Chinese president, Xi Jinping.
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“North Korea is a rogue nation which has become a great threat and embarrassment to China, which is trying to help but with little success,” Trump tweeted on 3 September after Pyongyang’s sixth nuclear test.
Zhao Tong, a North Korea expert at Beijing’s Carnegie–Tsinghua Center for Global Policy, said it was too early to tell how the issue might affect Trump’s visit. “Many things can happen between now and then. New developments can emerge that seriously change the calculations,” he said.
However, Zhao said it was almost certain Kim would continue his campaign in the lead-up to Trump’s arrival. “We are likely to see more tests, maybe including another nuclear tests … It won’t take long before the North Koreans really feel the pain [from the recent UN sanctions]. So I think the North Korean strategy is to use this very short time before they face real problems domestically, to completely conclude their nuclear and missile programs, to achieve all of the key technologies … So they are likely accelerate and to conduct the tests that are most important for them and then quickly soften their position and come to diplomacy.”
The US ambassador to the UN, Nikki Haley, echoed McMaster’s strong rhetoric, even as she said Washington’s preferred resolution to the crisis was through diplomacy and sanctions. “What we are seeing is, they are continuing to be provocative, they are continuing to be reckless and at that point there’s not a whole lot the security council is going to be able to do from here, when you’ve cut 90% of the trade and 30% of the oil,” Haley said.
Trump said he was “more confident than ever that our options in addressing this threat are both effective and overwhelming”. Speaking from Joint Base Andrews near Washington he said North Korea “has once again shown its utter contempt for its neighbours and for the entire world community”.
Russia’s UN ambassador, Vassily Nebenzia, said the US needed to begin talks with North Korea, something that Washington has so far ruled out. “We called on our US partners and others to implement political and diplomatic solutions that are provided for in the resolution,” Nebenzia told reporters after the security council meeting. “Without implementing this, we also will consider it as a non-compliance with the resolution.”
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Asked about the prospect for direct talks, a White House spokesman said: “As the president and his national security team have repeatedly said, now is not the time to talk to North Korea.”
South Korean president Moon Jae-in also said dialogue with the North was impossible at this point. He ordered officials to analyse and prepare for possible new North Korean threats, including electromagnetic pulse and biochemical attacks.
The US and South Korea are technically still at war with North Korea because the 1950-53 Korean conflict ended with a truce and not a peace treaty. The North accuses the US, which has 28,500 troops in South Korea, of planning to invade and regularly threatens to destroy it and its Asian allies.

Reuters contributed to this report

2017年9月6日水曜日

法人企業統計から見る 「アベノミクス」と賃金圧縮の持続 破綻に向かう日本社会

 現在の問題をはっきりさせるために、日本の法人企業(会社)が従業員に対してどのような態度をとっているかを見ておこう。ここでは財務省の法人企業統計を利用する。
 この統計から明らかになることを、あらかじめ結論的に言うと、20世紀末に始まった「賃金圧縮」は依然として続いており、従業員の賃金所得が抑制されていることが注目される。また、そのため労働者世帯の家計消費支出は抑制される傾向が続いている。

 まず下図から、中長期的な趨勢をみると、法人企業の給与総額は、2003年~2006年の上昇を除いて、20世紀末から現在に至るまで低下トレンドを示している。2006年に150兆円ほどに達していた給与総額(統計の不備のため賞与を除く)は150兆円に達した後、2013年に125兆円にまで低下した。ただし、2013年以降は若干回復しているが、これについては後に詳しく検討する。
 

 賃金が圧縮されていることは、従業員一人あたりの給与額を見ると、いっそう明らかになる。下図は、給与総額を従業員数で割って得た「一人あたりの給与額」を示す。ただし、法人企業統計の従業員数は実数ではなく、短時間雇用者については、正規雇用者等の標準的な労働時間を規準とした換算値である。しかし、実際にはよく知られているように、低賃金の非正規雇用はますます増加している。そこで、「労働力調査」が示す実数値を参考にしながら、修正値(推定値)を計算してみた。言うまでもなく、これによって実際の一人あたり給与額が全般的に低下するだけではなく、(非正規雇用が増え続けているので)トレンドにも影響を与える。
 さらに、内閣府の公表している「消費者物価指数」を用いて、一人あたりの給与額(実質)を計算してみた。
  

 


 一人あたりの実質賃金が20世紀末から低下していること、また安倍政権が成立してからも低下しつづけていることが確認される。
 賃金が圧縮されつづけていることは、賃金シェアの一貫した低下からもうかがえる。ここで賃金シェアというのは、生産された付加価値総額に対する給与総額(給与+賞与)の割合のことを示すが、賞与についての統計数値が2006年以前については示されていないので、参考のために給与のみの場合の数値も示す。この賃金シェア(賃金分配率)も20世紀末から一貫して低下のトレンドを示している。しかも、安倍政権成立以降、むしろこの傾向は強くなっている。
 

 さて、最後に述べておきたいのは、こうした賃金所得の圧縮に対して、労働者世帯がとりうる対策である。
 勤労者世帯は、新古典派経済学の教義とは反対に、賃金率が低下したとき、労働時間を増やすことによって所得の著しい低下に対応することは、よく知られた事実である。
 そして、これは、一方で会社が賃金圧縮を実施するために正規雇用を減らし、低賃金の非正規雇用を増やそうとする政策を取り、他方で労働者世帯が非正規の短時間雇用という形で労働時間を増やそうとしている日本の経済社会の変化をよく説明する。
 
 しかし、労働供給は無限に増やせるわけではない。よく知られているように、現在「生産年齢人口」は減少しつつある。すでに、多くの地域では、労働力不足が深刻化していることが明らかになってきている。しかも、現在の「生産年齢人口」が減少しつつあるだけではなく、賃金圧縮が少子化をいっそうすすめることによって将来の「生産年齢人口」をも急速に減少させるように作用しているのである。

 現実の経済社会においては、深刻な社会的問題が生じたときに、いつも問題を正しく解決する方向に向かって対応策がとられるわけではない。むしろ逆の方向、問題を深刻化させる方向に向かうことが多い。現在の日本もそうである。
 社会が完全に破綻するまで突き進むのだろうか? きわめて憂慮するべき事態であることは間違いない。

2017年8月11日金曜日

2010年以降の自殺者の減少は本当か?

【厚生労働省人口動態統計より】
 少し物騒な話しだが、人口動態統計から自殺に関する統計について疑問点を示すこととする。どこの国でも、自殺者の増減は経済状況と密接に関連していることが指摘されてきた。
 実際、日本では、自殺者は、低賃金・非正規雇用の急速に増加しはじめた1997年頃に急増した。しかし、2009年頃からはすこしづつ減少してきた。もちろん減少するのはよいことである。だが、現実が本当にそうなのか疑わせる証言やデータがある。証言とは、自殺とは遺書を残したケースに限られるというものである。
 厚生労働省のデータでは、自殺率の低下と対照的に「変死」(下図参照)に結びつくと思われる死因がずっと上昇してきている。しかも、「不慮の事故(交通事故を除く)」はリーマンショック直後の2010年に増加し、翌年に2万人(3.11被災者数にほぼ等しい)ほど増えたのち、2012年に低下しているが、その後は2011年頃の水準にとどまっている。このように「不慮の事故」等が徐々に増加してきた理由とは何だろうか?
 警察は、2010年頃に自殺者を減らす運動をはじめている。しかし、それが統計上の「操作」ではないと断定するには多くの疑問が残る。



2017年8月7日月曜日

加計学園 疑惑の構図 2 獣医学教育改革の方向性に関する文科省の意見(2012年、他)

 加計学園問題を考えるとき、これまで文科省が獣医学教育についてどのように考えていたかが大いに参考になります。
 これに関係する文書は、多数存在しますが、例えば次の文書(2012年)を参照してもらえば、文科省の考え方がよく分かります。(それの是非はここでは詳しく問いませんが、おそらく文科省のいう通りだったのでしょう。)この種の文書は、獣医学部を持つ大学と文科省との間で頻繁に交わされていたこと、間違いありません。

http://plaza.umin.ac.jp/~vetedu/files/kaikakusympo-3kakizawa.pdf

 こうした文書に共通して見られるのは、現状を改革する必要への言及であり、特に現在の教育が国際的レベルの獣医師を育てるには不足しており、そのために(国際的レベルの獣医師を教育するために)いつつかの施策を実現する必要があるという意見です。またそのために、例えば大学間連携の必要性がるという指摘です。
 いずれにせよ、獣医師が不足しているなどという認識はまったく見られません。まったく逆であり、これは構造改革特区への今治市の認可申請(2007年~2011年)に際して文科省が反対意見を表明している文書でも明らかです。
 まさに愛媛県・今治市、加計学園にとっては、どうしても崩すことのできない「岩盤」が存在したわけです。

 そして、それを崩すには、まず国家戦略特区で今治市の獣医学部を先行して認可しておいて、後から文科省に認可するように圧力をかけるという方法しか残されていなかったということもよく理解できます。国家戦略特区制度には、本ブログでも示したように、構造改革特区とは異なって、「総理の主導」「トップダウン」が決定されていました。<特区で認可しておき、公募で事業者(加計学園)に申請させれば、文科省も拒絶はできないだろう。> これうした目論見、構図がさらにはっきりと見えてきます。
 まさに「男たちの悪巧み」に他なりません。


加計学園 疑惑の構図 1 「男たちの悪巧み」の意味 作戦変更

 加計学園をめぐる疑惑について調べてきましたが、私なりに分かったことがあるので、少し疑惑の構図について触れてみることとします。

 まず2015年のクリスマス・イブ(12月24日)に昭恵氏(安倍首相夫人)がフェイスブックで「男たちの悪巧み・・・(?)」とつぶやいたことを取りあげます。ネットでは、広く知られているので、詳しくはそちらに譲ることにしますが、安倍首相と加計孝太郎(加計学園理事長)の他に、高橋精一郎(三井住友銀行副頭取)、増岡聡一郎(鉄鋼ビルディング専務)の4人が酒を飲んでいる写真が掲載されています(下図)。


 これは4人のネポティズム(縁故関係)を示すものに相違ありませんが、私が注目するのは、「悪巧み」という表現です。実際、これは「悪巧み」に違いないでしょう。あるいは、作戦変更というべきかもしれません。そのことは、今治市の獣医学部開設に関する経過を時系列的に追うことによって、自ずから明らかになってきます。

 さて、現在、問題となっているのは、2014年にはじまる国家戦略特区に関わっていますが、その前に構造改革特区の制度がありました。小泉「構造改革」とともに始まった制度です。
 この構造改革特区に2007年度(第12次申請)から2013年度(第24次申請)にかけて今治市が獣医学部開設の新設申請を行っています。これは周知の事柄であり、今治市のホームページに提出資料が掲載されています。また2007年(第12次)から2009年(第17次)については、はっきりと予定事業者として岡山理科大学(加計学園運営)の名前を出して申請しており、これは文書に記されています。2007年というと、安倍晋三氏が首相(総理大臣)に就任した年です(9月26日)。

  http://www.city.imabari.ehime.jp/kikaku/kouzoukaikaku_tokku/
 
 ちなみに、構造改革特区の側の資料では、2007年~2007年の「申請状況一覧」が現在削除されています。「ページは移動しました」となっていますが、指示通り他のページをみても、ぐるぐる回るだけで、文書は出来てきません。しかし、これについては、措いておきましょう。


 加計学園を予定事業者とした申請はすべて却下されました。
 その理由を示す文書がやはり先に紹介した今治市のサイトに載っています。
 その一部をあげておきます。
 
 「現在、政府においては、6月を目途に取りまとめられる「新成長戦略」のなかで、ライフ・イノベーションによる健康大国戦略等を検討するとしています。 獣医師は、感染症の予防・診断、医薬品の開発、食の安全性の確保等において重要な役割を担っており、上記の検討の中で、獣医師養成の在り方についても、新たな視点から対応を検討してまいります。
 文部科学省としては、獣医関係学部・学科の入学定員について、獣医師養成が6年間を必要とする高度専門職業人養成であり、他の高度専門職と同様に全国的見地から、獣医師養成機能をもつ大学全体の課題として対応することが適切であります。
 このため、ご提案を特区制度を活用して実現することは困難であると考えます。」

 実際、政府(文科省を中心に)既存大学の獣医学部を活用した獣医師の新たな、ハイレベルな養成方法について検討し、実現しようとしていました。というのは、岡山理大が獣医学部を開設した場合、レベルの低下を招くことはあっても、国際化に対応した獣医師の養成など不可能と判断していたからです。(これらの詳細については、後に詳しく触れる機会を持ちたいと思います。)
 今治市は、繰り返し繰り返し同じ要望書を提出し、今治市を中心とする広域的な地域に獣医師養成大学・学部が存在しないこと、これが数十年来の今治市の要望であると主張しましたが、認可基準・設置基準を満たしていないという政府や文科省の判断を変えることはありませんでした。

 ところが、です。安倍晋三氏が再度首相(総理大臣)に返り咲き、しかも特区制度も「総理の主導」・「トップダウン」で「異次元のスピード」で岩盤規制を掘り崩すという「国家戦略特区」の制度に変わりました(2014年)。しかも、新制度では、国・自治体・民間が「対峙せず」、一体となって進めるということも決定されています。

 ここで作戦が変更されたわけです。その要点は、(1)最初に国家戦略特区で今治市に獣医学部開設の特区地域として認定する。その際、あえて岡山理大(加計学園)の名前を予定事業者とあげることはしない。それは作戦上どうでもよい。今治市に獣医学部開設の特区を認定することが重要である。そして(2)次に特区事業者の公募をする。これも出来レースだから、公募期間は短期間の方がよい。他の大学が公募してきては困るから。もちろん、応募するのは岡山理大だけにしたいが、他の大学が応募してきてもつぶせばよい。最後に(3)文科省の設置審にかけ、認可させればよい。文科省が難色を示すだろうが、首相官邸からの圧力をかける。こんなところでしょう。

 実際、この作戦通り事は進行しましたーーただし、途中まで。
 しかし、まず第一に、京産大が公募してきました。しかし、これは例の「広域的云々」(云々を国会で「でんでん」と読んだアホ首相がいますが、これも別の機会に詳しく)でつぶされました。第二に、予想通り、文科省(前川次官など)が難色を示しました(国家戦略特区の文書「日本再興戦略」の表現では、「対峙」しました。)そこで、設置審の応募期日(2017年3月31日)に間に合うように、2016年8月~10月にかけて、和泉、萩生田、木曽などの諸氏が文科省にさかんに圧力をかけました。「首相の御意向」だから聞けというわけです。
 そして、前川次官は辞任させられましたが、ついに内情を暴露する文書が公表され、前川氏の爆弾発言(いわゆる前川砲)がありました。
 文科相は、文書を隠匿するために必死になり、虚偽の答弁を繰り返しました。
 菅官房長官は、「怪文書」発言をしました。
 読売新聞は、前川氏の個人攻撃をしましたが、これは前川発言の価値をおとしめるために行ったことであり、官邸との相談なしには出来なかったことと推測できます。(警察出身の官邸の当局者が関与していたでしょう。)
 安倍首相は、もちろんすでに2007年から事情をよく知っていました。また事情に通じている人は誰でもそのことを知っていました。そこで、当初は、「急な質問」でもあり、より「整理せずに」答えたため、2015年6月の特区申請の段階で知っていると答えるしかありえませんでした。(当然でしょう。もし知らなかったと言ったら、皆が「嘘つき」と言ったでしょう)。しかし、その後、2016年夏に行われた「首相の御意向」を文科省に伝え、圧力をかけたという事実はない(かりに圧力があったとしても、それは自分の知らないところで他の人によって忖度によって行われたものだ)という趣旨のシナリオに変更せざるをえなくなりました。しかし、そのために、さらに嘘の上塗りをしなければならなくなりました。今年(2017年)1月20日まで予定事業者が加計学園と知らなかったという閉会中審査の答弁です。このシナリオ変更は、国会の閉会中審査の直前に首相秘書官によって念入りに作成され、首相にレクチャーされたという情報もあります。

 これが時系列を追って見た加計学園問題の展開の要点です。
 この裏には安倍首相とその周辺、加計学園、愛媛県・今治市、その他のネポティズム(縁故関係)と利権の構図が見え隠れしています(下図参照)。
 この利権の構図をより詳しく見ながら、上記の作戦がどのように進行したかを、さらにこの問題を追求していきたいと思います。

 

 (この項目続く)
 

2017年8月2日水曜日

破綻にむけて東芝の背中を押した人物 今井尚哉

 
 東芝がなぜ不良企業のWHを購入したのか、またWHがこれまた7000億円もの損失を出していた不良企業のS&Wを高い「のれん」代まで出して買ったのか?
 その裏には経産省があり、ある人物がいた。また「原発輸出」を推進してきた安倍首相がいた。

 今井尚哉 経産省出身・首相秘書官
  今井敬(元経団連会長)の甥
  今井善衛(元経産事務次官)の甥
  安倍首相の片腕・最も信頼する人物

https://www.businessinsider.jp/post-100588