2013年10月4日金曜日

ハイエクは、そんなに偉大か? その1

 昔、ハイエク(Hayek)という経済学者がいました。
 ときどき彼を論じる本が出版されたり、「ケインズとハイエク」というようにケインズと並び称する著書が書かれたりします。
 しかし、彼はそんなに偉大な経済学者なのでしょうか? 私には決してそのように思われません。
 まず経済学者としての評価の前に、人間としての評価をしましょう。何故ならば、経済学は「モラル・サイエンス」であり、何よりも人間の物質的生活にとどまらず、精神的な生活に直接・間接にかかわる学問であるからです。
 1970年代にチリで民主的に成立したアジェンダ政権が軍事クーデターによって倒されるという事件があったことをご存知でしょうか? 今日では、その背後に米国CIAの策略があったことがよく知られています。よく「陰謀史観」の人が根拠なしに憶測で「陰謀」で歴史が作られたことを主張する場合がありますが、それと異なって数多くの史料がそれを明白に明らかにしています。クーデターのあと、多くの人々が米国の支援を受けたピノチェ政権によって迫害されたこともよく知られています。何万人もの人々が行方不明になりましたが、彼らの多くは様々な方法で、例えば飛行機から突き落とすというような方法で殺されました。
 民主主義、自由と権利を標榜する国と人々がそのようなことを行ったのです。
 ところで、その時、ハイエクは、まさに軍事クーデターを支持し、ピノチェ政権を支援する活動をしていたのです。私は人間としげ決してハイエクを許すことはできませんし、したがって彼の経済学(らしきもの)を評価する気にもなれません。
 しかし、そのことは置いておき、彼の経済学なるものをも一瞥することにしましょう。
 (続く)

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