2014年3月8日土曜日
福島第一原発事故の費用 2 原発事故の賠償交付金
次に、福島原発事故によって生じた費用のうち、倍賞交付金をとりあげます。
日経新聞(2013年10月16日)によれば、国が倍賞交付額として東電に交付した援助額は、2013年9月末時点で3兆483億円に達しました。また、この援助額が本年度中に 5 兆円となる可能性があり、その場合には、全額が回収されるのが31年度の2044年後になるという会計検査院の試算が報道されています。
つまり、東電は、国が原子力損害賠償機構を通じて援助する 5 兆円を31年間にわたって国に返済しつづけるということです。その他に利息分などの追加負担が国に生じるので、実質的な国民負担額は794億円に上るともいわれています。
ただし、この国民負担分というのは、政府財政を通じた負担分という意味であり、東電が政府に返済する額も(東電とその他の電力会社の)電気料金の引き上げなどの形で、国民負担となることは言うまでもありません。
検査院は「資金回収 が長期に及ぶと国民負担が増える」と指摘していますが、これは理利息分が上記の額より増えるということを意味しています。
さて、この数字は東電が被害者に支払う金額であり、被害者が実際に受けた被害額ではありません。言うまでもなく、十分な倍賞金を得ない人は多く、したがって後者の金額はもっと大きな額になるはずです。
それがどれほどの額になるかを知るには、専門的な調査・研究が必要となり、詳細な数字をあげることはできませんが、参考のために震災後の福島県における避難者数をあげておきます。
原発事故の汚染度によって原発事故の被害地域は6つの区域に分けられており、それぞれの地域に避難者がいます。その他に「自主避難者」がいます。また避難したいけど、様々な事情で避難しない(または出来ない)人がいますが、こうした人々も被害者であることは言うまでもありません。
宮城県や岩手県と比べて福島県では、県内避難者(最大で10万人ほど)に対して県外避難者(最大で6万人、復興庁のデータ)がきわめて多くなっていますが、それは言うまでもなく原発事故の影響がきわめて大きいことを示しています。
http://www.reconstruction.go.jp/topics/post.html
これらの中の多くの人々は、あるいは土地と家を失い、あるいは職と所得を失い、あるいは交友関係・コミュニティを失い、精神的な被害を受けました。しかし、それを貨幣額で示すことなどそもそも不可能な話です。
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