2019年7月22日月曜日

安倍政治の転落のはじまり

参院選挙が終わった。

 自民党が議席を減らし、改憲勢力が3分の2を割り、ひとまずはほっとしたが、これは安倍政治の転落の始まりとなることは間違いない。
 まず消費増税はかなり長期の消費不況をもたらすだろう。東京オリンピックが終わったあと、いっそうの深刻な状況が訪れる可能性が高い。
 三党合意(社会保障の充実のための消費増税)を反故にして、年金やその他の社会保障費を削減してきたため、多くの人に犠牲が転嫁されている。これも景気悪化に寄与する。
 安倍晋三の大企業優遇政策(法人税減税)の穴埋めに消費税が使われており、また米国からの数兆円に達する武器の爆買など、深刻な財政問題も浮上する。
 マイナス金利を伴う日銀の異常な金融緩和策によって、ほとんどの銀行は金利収入の道を失い、危機的な状況に陥っている。利潤を取るために、従業員(銀行員)に無理なノルマを課し、社会的に許されない営業活動に手を出している。
 年金財源や日銀マネーを使った株価の官制相場もいつ崩壊するかわからない。
 円安誘導はドル高・輸入品物価高をもたらし、実質賃金や支給年金額の実質的低下を招いてきた。一時は「お友だち」の経団連(要は大企業)が賃金を引きあげるふりをしてきたが、以上のような将来不安から、大企業が従業員の労働条件を悪化させ、賃金を抑制して貯めてきた内部留保(利益剰余金)をひたすら大切に守ろうとしてきた。しかし、株価が低下し、虎の子のマネー資産が減価すれば、一種のパニックが生じることになるであろう。
 
 それでも、いままで安倍政権がもってきたのは、「偽ぞう・捏ぞう・安倍晋ぞう」と揶揄される欺瞞政治、マスメディアに対する圧力(政権の広報機関化)などであり、多くの人を「マインド・コントロール」状態に置いてきたからである。しかし、日本のマスメディアの不透明性(政府からの圧力による)は、国連の批判を浴びるにいたっている。また中国、韓国、北朝鮮に対する日本人の不信感を増幅し、ナショナリズムを煽動してきたことが一定の「成果」をあげたためであろう。これは神がかりの異常な政治家が自己の真の姿を糊塗するためにしばしば使う手である。しかし、それもいつまで通用するかはわからない。
 
 安倍政治が終わるときには、景気後退が引き金になり、スパイラル的に様々な問題が露呈される可能性がきわめて高くなる。事物は相互に複雑に依存しているからである。そのときに、多くの人々はそれまで隠蔽されていた「アベノミクス」(アホノミクス、アベコベノミクス)の正体をいやでも知らされることになるであろう。

 もちろんそれには犠牲が伴うであろう。しかし、それはアベノミクスなる異常な政策が6年もの間、実施されてきたことの報いである。


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