2014年2月25日火曜日

フランスの最低賃金 SMIC 1970年の SMIG 法


 現行のフランスの最低賃金法は、1970年に旧法を改訂して制定されたもの(SMIG)をベースにしています。その最低賃金率は 、SMIC (Salaire Minimum Interprofessionnel de Croissance) と呼ばれています。
  
 この最低賃金を定めた法律は、民間企業であれ、公企業であれ、(訓練中の徒弟以外の)18歳以上のすべての従業員に適用されます。最低賃金率は、インフレーション率および労働生産性を考慮して決定されることとされています。2010年からは前年のインフレ率および労働者の平均給与の上昇率の半分にもとづいて1月1日に自動的に上昇します。もし年度途中に2%を超えるインフレ率が生じたときには、自動的に引き上げられます。その他に政府は最低賃金を引き上げることを決定することも可能です。(E. Caroli and J. Gautie, Low Wage Work in France, Russell Sage Foundation, 2008 を参照。)

 こうした制度のために、フランスでは最低賃金が国全体の平均給与(メディアン)の60%を超えるに至りました。通常の統計では、低賃金労働というのは、平均(メディアン)の50%以下ですから、一応、フランスの最低賃金水準はそれを超えていることになります。これは日本の最低賃金の水準が40%に達していないのとは大きく異なっています。
 2011年の数字では、フランスの最低賃金率は9ユーロでしたから、現在の為替相場では1260円/時間ほどということになります。

 さて、最低賃金の引き上げるというと必ずでてくるのは、それが失業の増加をもたらすという反論です。
 たしかに企業家が賃金を引き上げたくないと思っているということなら、その通りでしょう。しかし、希望と現実は異なります。
 むしろ近年、失業は「マーストリヒト条約」の要請するマネタリスト・デフレ政策とその後の金融危機によって景気が悪化し、有効需要=生産が低下した時にこそ増加しています。もちろん景気が悪化しても、投資と技術革新、労働強化によって労働生産性は上昇します。ですから労働需要は2つの要因で縮小し、失業者が増えるという結果になっています。

 往々にして賃金の引き上げが失業をもたらすと主張する人は、何故か(もちろん理由は分かっています)マーストリヒト条約についても、金融資本主義のもたらす金融危機・景気後退についても言及しない傾きがあります。
 
 その上、実際には、フランスの国内でも高賃金の地域・県で失業率(9%以下)がかなり低く、低賃金の地域・県で失業率がかなり高い(12%以上)という傾向があります。これなどどのように説明するのでしょか?

 「何があろうとも高賃金は雇用を縮小させる。理論も研究もそのように言っている。」彼らは批判にはまともに答えずに、別の、批判される危険性のない人々に、こっそりと理論や実証結果がそうなっていると語るだけです。
 OECDの『職の研究』(1994年)もそうでした。しかし、OECDの内部からも批判され、また多くの国の研究者によって理論的・実証的に批判されると、あれはOECDの公式見解ではなかった(2006年)と言い訳する始末です。労働条件の悪化をもたらしておいて、失業率を引き下げるという結果を実現することもない。困ったものです。

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