2013年12月3日火曜日

賃金低下の動かざる証拠 就業構造基本調査から

 1997年から現在(2012年)までに賃金がどのように引き下げられたかは、厚生労働省の労働力調査と就業構造基本調査から明白です。

 まず「労働力調査」から。雇用形態の変化がわかります。言うまでもなく、この15年間に男女とも非正規雇用の絶対数も割合も増加しています。




次が「就業構造基本調査」。雇用形態(正規・非正規)・所得区分別の従業員数の変化が分かります。ここでは1997年から2012年の変化をパーセントで示します。20歳代と30歳代の統計を男女別のグラフで示しておきます。





 どの年齢層でも男女とも正規から非正規への移動、高所得から低所得への移動が一目瞭然です。
 ただし、30歳代女性の場合には、ちょっと注意が必要です。ここでは、やはり非正規雇用の比重が増えていますが、非正規の中では99万円以下の所得区分の人数が減少して、100万円〜299万円のところが増加しています。非正規雇用の低賃金、かつ長時間労働によって所得を増やそうとしている30代の女性が増加しているという姿が浮かび上がってきます。

 2002年から2006年に「史上最長」の「景気回復」(好況ではありません!)とか、史上最大の経常収益と騒いでいる人々がいましたが、上のグラフで示されるのが現実です。
 ちなみに、経常収支のグラフもあげておきましょう。巨大企業が賃金所得を犠牲にして収益を拡大していたことがよく分かるはずです。
 出典は、財務省の法人企業統計。企業は、資本金額によって分類してあります。








2 件のコメント:

  1. 労働分配率を見れば2000年代の好況時でさえ下落は資本減耗による資本分配の上昇によるもの程度に過ぎなかった。そして1997年より前には大幅な上昇をしていた。1997年からの賃金低下はその労働分配率の上昇、高すぎる労働コストを時短によって減らすことで調整した結果に過ぎず、時短で調整しきれなかった分が失業や非正規労働となったのである。数字に振り回されて大局観に欠けた分析以前の内容。

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  2. 資本減耗の影響を除くために雇用者報酬を、雇用者報酬と民間法人企業企業所得の和で割った労働分配率の推移を見れば2002年と2006年で2%強しか下がっていない。そしてそれは1980年代の平均水準と比べてかなり高まっていた1990年代中頃からの調整に過ぎない。労働分配率が90年代中頃に高まったことの皺寄せが一部の人に非正規という形で集中したのであり(時短による賃金低下は広くに影響したが)、企業が利益を独り占めするようになったかと思わせるような書き物は人々を誤った道に導くだけである。労働者への分け前である労働分配率の低下は小幅であり、その前の上昇を踏まえれば経済がうまく回っていた頃の平均よりもかなり高いのである。賃金が下がって購買力が落ちて経済が回らなくなったのではない。労働力が遊休され生産が落ちて経済が回らなくなったから賃金が下がったのだ。

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