2013年1月4日金曜日

需要と供給による価格決定説の誤謬 2

 前に説明したように、収穫逓減が成立しないという前提を満たす場合(ここでは収穫一定)を考えます。ただし、差し当たり需要曲線は右下がりと仮定しておきます。すると、下に示したような図が描けます。この図は、価格水準はもっぱら供給側の事情によって決まり、供給量は(価格が一定水順に固定されているならば)もっぱら需要側の事情によって決まることを示しています。
 いま需要量がDD曲線で示され、供給量がSSで示されるとします。両者の交点は(p、Q)です。この場合、もし需要側がD'D'曲線のように変化し、需要量がQ’に低下しても、価格pは変化しません。価格が変化するのは、供給側がS’S’のように変化するときだけです。
 実は、この図のほうがはるかに的確に現実の経済社会の動きを説明します。実際、企業は、一度設定した価格をあまり上げ下げしたがりません。また商品の購入者は、価格の変動に対してはまったく無反応ではなく、価格の引き上げに対しては購入量の減少をもって、反対に価格の引き下げに対しては購入量の増加をもって対応します。もちろん、「需要の価格弾力性」は商品ごとに異なっており、またTPO(地域、時期、状況)によって異なっていると考えられます。それが現実に計測されることはめったにありませんが、原理的には計測可能です。
 そこで、現実世界の経済学は、価格が供給側の如何なる事情によって決定されるのか、また価格を所与としたとき、需要は如何なる事情によって決定されるのかを、検討しなければなりません。


 






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