2017年7月24日月曜日

2015年末以降の安倍内閣支持率上昇の謎? 

 時事通信社などの世論調査(安倍内閣の支持率)で、きわめて不思議なことがある。それは、2013年から急落傾向を示していた支持率が反転し、今年のはじめまで上昇しはじめたことである。その後、急落し、現在(7月24日)には20%台にまで落ち込んでいる。趨勢を直線で表すと、当初の60%前後から現在の20%台まで、下降トレンドの直線が描ける。時事通信社の調査だけでなく、他の調査結果でも、程度の差はあれ、同じようなトレンドが確認される。
 いったい何があったのだろうか?
 この年の重要な政治的出来事は、安保法制(戦争法)の成立(9/19)である。
 この法律は、集団的自衛権を前面に出し、米国との軍事同盟を強化し、米軍と共同歩調を取り、場合によっては日本を攻撃していない国に対する先制攻撃も辞さないというものであった。この法律に対する国民の疑念は強く、それはとりわけ成立直前に支持率をいっそう押し下げるように作用した。
 ところがである。反転が生じ、2016年度を通じて、支持率は回復した。
 一体、2016年になにがあったのであろうか?
 2016年には次のような出来事があった。
  国内
   熊本地震
   天皇のお言葉(安倍首相に対する批判という意見もあり)
   障害者施設19人刺殺事件
   TPPの可決→米トランプの反対で流産
   日銀マイナス金利の決定(金融政策の破綻)
   消費税率引き上げ延期(選挙前)
   宜野湾市長選 → 沖縄非難のヘイト番組の登場
   自衛隊の海外派遣
  外国
   北朝鮮弾道ミサイル、核実験、潜水艦ミサイル、核実験
   ベルギーテロ
   仏テロ
   ドイツ銃乱射事件、トラックテロ 
  
 国内には、これといって安倍内閣の支持率を引きあげるような出来事は一つも生じていない。しかし、海外での出来事となると別である。
 中でも注目されるのは、ヨーロッパにおけるテロの頻発と、北朝鮮の弾道ミサイル、潜水艦ミサイル、核実験(2回)である。
 安倍内閣がこれを利用したことは、私が指摘するまでもない。一方では、米軍と共同行動を取り、北朝鮮を刺激することまで行った。他方では、それを忖度した組織があらわれた。NHKはまるで戦時中であるかのようなニュースを流し、また東京では電車がとめられたり、屋外に出ないように注意する町内放送があったりした。要するに、北朝鮮に対する危機を煽り、国民を軍事立国承認の方向に導いたことは間違いない。これについては、前のブログでも書いたが、私が驚くほど、真に受けた人が多かった。
 また世論調査でも、内閣支持率に対する質問の前後に、北朝鮮関係の質問を入れ、一種の誘導質問として利用したことは、まったく明らかである。
 しかし、この点でも流れは若干変わった。韓国における保守派(朴)にかわり進歩派の大統領が誕生した。またトランプは中国と会談し、中国と北朝鮮との外交関係にゆだねる方向に一応は向かった。それに日本の国民の多くは、北朝鮮から一方的に攻撃を受けると信じるほど判断力が低いとも思われないし、むしろ北朝鮮を刺激し(または攻撃し)、金ジョンウンが正気を失ってやけっぱちになるほうが怖いことも理解しているだろう。
 しかし、支持率がふたたび反転し、低下に向かうきっかけとなったのは、森友と加計のアベ友学園問題(疑惑)であろう。それとともに懐憲(立憲制の破壊)のために安倍政権が行ってきた悪行の数々がふたたび人々の脳裏に戻ってきた。
 現在の低支持率は、本来の趨勢がたどるはずの帰着点と一致する。
 調査は、不支持の理由として、安倍晋三が信頼できない人物であるという理由を明らかにしている。まさにその通りである。虚偽、隠蔽、秘密外交、圧力、国民に対する動員の指示、不遜、憲法・法の無視・軽視など、政治の私物化など、あらゆる悪徳がこの人物にはつきまとっている。「云々」を「でんでん」と読むだけのことであれば、可愛いものである。
 安倍晋三という人物の姑息さを多くの人はこんどこそ忘れないだろう。いや、忘れないでほしい。なによりも自分自身のために。


 

 


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