2017年7月19日水曜日

安倍氏の経済政策の経済的帰結 18 異次元の量的緩和 日本一人旅

 一つのよく知られた図がある。
 日欧米の中央銀行の総資産(GDP比)の推移を示すものである。
 すでに2012年までの時点で、日銀は欧米の中央銀行(FRB、ECB)以上の量的緩和を実施していた。その後、黒田日銀の下で、異常ともいえる金融緩和が行われてきた。その方法は、国債購入やETFであり、その結果、日銀はほぼGDPに等しい額の資産(国債、ETF,融資など)を保有するに到っている。
 そのような中で、GDPの1/4ほどに相当する資産を持つにすぎない(!?)FRBが保有資産の圧縮に踏み切る。欧州もその下地をこしらえている。
 しかし、黒田日銀は、ずっと前に達成するはずだった「デフレ不況」克服を達成できずに、達成時期を先に、先にと何度も延長してきた。まだまだ、日銀の保有資産がGDPの(例えば)二倍になっても続けるつもりだろうか?
 FACTAが「緩和日本」一人旅と指摘するとおりである。
  

FRB「資産圧縮」前倒し開始欧、英、加が金融引き締めの下地をこしらえる中、いよいよ米イエレンが保有資産圧縮に踏み切る。「緩和日本」一人旅。

https://facta.co.jp/article/201708010.html

 FACTAの記事は述べる。
 「今や一人旅となったのは日本。本来なら米欧に合わせて、長期金利をある程度上振れさせたいというのが、日銀事務方のココロだろう。だが、肝心の消費者物価はようやくマイナス圏を脱したばかり。都議選の大敗で安倍晋三政権の先行きも覚束ないなかで、金融政策のかじ取りの変更など日程に上るべくもない。マネーの蛇口を開きっぱなしなのは、日本だけ。周回遅れの余剰マネーの向かう先はどこなのだろうか。」

 この文章にも気になるところがないわけではないが、不安は不安である。仮に大量の国債とETFをかかえた日銀が債権価格の低下によって債務超過になった場合、どのような事態になるのだろか?
 たしかに現実は不確実であり、人々は必ずしも合理的に行動するわけではないがゆえに、破綻がいますぐ来るわけではないとしても、私たちが異常な事態の中にいることは間違いないだろう。

 

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